Terra-BerryDAC 追加情報
●Terra-BerryDACの開発コンセプト
Terra-BerryDACの開発コンセプトは、高性能で使い易くしかも拡張性をもたせるというものです。
Terra-BerryDAC開発当初、PCM5102ベースの高性能DACを検討していました。しかし、他に無い特色があるべきと考え、RaspberryPi HAT形状のDACでは採用例が見つからなかったAKM製AK4490の採用を決めました。さらに、AK4490の持っているDSD再生の機能を使えるようにSRC(Sample rate converter) AK4137をセットで使うことにしました。
どちらのチップも起動時に内部設定が必要です。RaspberryPiのOSに専用ドライバを用意する必要があります。
しかしそれではオーディオプレーヤのディストリビューションごとにドライバをインストールしてもらわなければならず、簡便さが損なわれてしまいます。
そこで、DAC上にマイコンをのせて、マイコンから初期設定を行うことでドライバ無しで動作するようにしました。
●拡張性について
- DACとRaspberryPiの電源を分離して、DAC用の電源を強化いただけます。
- アンバランス出力端子,バランス出力端子,操作端子は2.54mmピッチに合わせていますので、市販のRaspberryPi用ユニバーサル基板を使ってオリジナルのコネクタ基板などを作成できます。
- AK4490は内部に多くの設定項目があり、より細かな設定をしたい場合もあります。そのためにGPIOシリアルポートからフィルタ、SRCバイパス、ATTなど、コマンドで設定ができるようにしています。
ちなみにI2Cではなく、シリアルポートを使ったのは以下の理由によります。- I2Cではアドレスの衝突の可能性がある。
- オーディオプレーヤの用途ではGPIOシリアルポートは使われることは無いであろう。
- GPIOシリアルならばCUIでコマンドで実験が行いやすい。
●マイコンの動作について
Terr-BerryDACに搭載されているマイコンは以下の動作をしています。
- RaspberryPiとCombo384の入力切り換えを行います。
- AK4490, AK4137の初期設定を行います。
- I2SのLRCLKを監視し、周期を計測してMCLKの周波数を設定します。
LRCLK 周波数 MCLK 周波数 768KHz/384KHz/192KHz/48KHz/32KHz(およびそれ以下) 49.1520MHz 705.6KHz/352.8KHz/176.4KHz/44.1KHz 45.1584MHz - スイッチの状態を監視して、DACの動作モードを変更します。
- Combo384が接続されている場合は、Combo384の制御端子の信号にしたがってDACの設定を変更(ミュート,DSD/PCM切り換えなど)します。
- GPIOシリアルポートのコマンドを実行します。シリアルポートからDACアッテネータなどが操作できます。
シリアルポートコマンドはドキュメントのページを参照ください。
●SRC (Sample rate converter)の効果
SRCは以下の効果があります。
- DoPデコーダによってRaspberryPiでDSD再生が可能になります。
- SRCはI2S信号をDAC上に搭載している高精度クロックで再サンプリングするため、RaspberryPiのI2S信号のゆらぎを相殺することができます。いわゆるRe-Clockerと同じ効果があります。
- SRCではデータを32bitに変換しています。そのため、24bit PCMの場合でもDACのアッテネータにおいて8bit余裕があり、-48dBまでビットロスト少なく信号を減衰できます。(ただし、DACはフルスイングで動作させて最大の性能で使われることを前提として、アッテネータの操作は拡張機能と考えています)
●セパレート電源の効果
RaspberryPiはLANのアクセスやCPUの動作状態などで微妙に電源電圧が変動します。 RaspberryPiとDACを共通電源にした場合と別々の電源にした場合の電源変動は以下のようになります。 Terra-BerryDACはRaspberry Piから独立した電源供給することでRaspbrry Piの動作による電源変動によるDACの電源変動を避けることができます。
- Raspbrry PiからDACに電源供給した場合
- DACの電源を分けた場合
※Terra-BerryDAC2/2+は、入力の5Vから内部の電源を再生成しているので、RaspberryPiの電源変動の影響は軽減されています。